第5回

美肌につながるマッサージ・運動

お顔、首はそっと、耳はしっかりとマッサージ。

加齢に伴いフェイスラインがシャープではなくなってきます。これはお肌にハリが失われ、若いころは強固だった結合組織が緩み、重力に逆らうことができずにたるみが生じるからです。そこで鏡を見て、「若い頃はこうだったよな~」とたるんだ皮膚を引っ張り上げる動作をしがちですが、私はあまりおススメしません。皮膚は引っ張ると伸びます。伸びてしまった皮膚は重力で下がり、なおさらたるみをひどくしてしまうこともあります。ではたるみを防止するにはどうしたらよいのでしょう。

まずはお肌の血行を良くし、リンパの流れをスムーズにすることがたるみ防止につながります。様々な方法がありますが、私がおススメするマッサージは、あごから下のフェイスライン、耳の下、そこから首にかけてです。しかも力は入れず、そっとなでおろすくらいにしてください。お顔のツボをそっと押すのもOKです。

特にたるみ防止で手軽にできるおススメは「耳マッサージ」です。まずは背筋をピンと張ります。頭を下に向けながら耳の上部を横に引っ張り1分間キープ。これによって肩から首にかけて滞っていた血流が良くなります。その後、数回耳全体をグネグネもんだり、折りたたんだり、いろいろな方向に引っ張ったりするとお顔の血行がよくなってじんわり温かくなります。

皮膚のコラーゲンを増やす上で大切なのは、よく眠ることと運動。

また、たるみを改善させるには皮膚のコラーゲンを増やすことも大切です。コラーゲンが増えるとお肌にハリが戻り、重力に負けない結合組織がつくられます。コラーゲンを増やすには「成長ホルモン」が必須です。ではどうしたら成長ホルモンが分泌されるのでしょう。それは、よく眠ることと運動です。寝る子は育つというのは本当で、寝ている間に成長ホルモンが分泌されます。そして運動。成長ホルモンが分泌されるだけでなく、ウォーキング、エアロビクス、水泳などの有酸素運動は心肺能力を高めます。そして血行が良くなり、酸素や栄養素が効率よく運ばれることで、皮膚細胞の再生・修復能力が高くなります。定期的に発汗することで有害物質が排出され、汗に含まれる保湿成分でお肌が潤います。また運動前に行うストレッチは脂肪燃焼効果を高め、体の柔軟性も高めます。さらにホルモンバランスも整い、血管年齢が若返るとともに美肌につながります。

私が何年も続けているのが加圧トレーニングです。加圧トレーニングとは、腕や足の付け根に特殊なベルトを巻いて圧力をかけながらする筋力トレーニングです。約30分の軽いトレーニングで通常の何倍もの成長ホルモンが分泌されます。さらにすごいのが運動中だけではなく、加圧トレーニング後数日間は成長ホルモンの分泌が続くことです。美肌だけではなく筋力がアップすることで基礎代謝が高まり、脂肪が燃焼され太りにくい体を手に入れることができるのです。やり過ぎは禁物ですが。

もう1つ皮膚のコラーゲンを増やす方法でおススメなのは、毎日ゼラチンを摂取すること。ゼラチンを構成するアミノ酸がお肌のコラーゲンに分配されやすい性質があることと、毎日摂取することでコラーゲンが皮膚に届きやすくなるからです。私はJWティーにゼラチンを混ぜて作ったゼリーを毎日食べています。とっても美味しいのでぜひ作ってみてくださいね。

皮膚科・美容皮膚科医 菅原由香子先生
原稿執筆

美容皮膚科医
菅原 由香子(すがわら ゆかこ)先生

1970年、北海道旭川市生まれ。弘前大学医学部を卒業後、札幌医科大学皮膚科、美容外科美容皮膚科勤務を経て、岩手県一関市にすがわら皮膚科クリニック(現・菜の花皮膚科クリニック)をご夫婦で開業。何をしても治らない肌荒れに悩む人々が評判を聞きつけて、日本全国から診療希望者が訪れている。これまでに10万人以上の肌のお悩みに向き合ってきた。ウェブサイト「お肌磨き研究所」運営のほか、情報サイト「スキンケア大学」で記事監修、テレビなど各種メディアにも多数出演。
2016年からジェイソン・ウィンターズ・ティーを愛用中。